平成8年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
県内木簡資源の炭化処理及び水蒸気蒸留に開する研究
中原 意 材料開発部
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要旨
県内に豊富に遷するスギ材やマダケ材等の木竹資源を炭化処理や成分利用により水質浄化等の環境浄化資材として
活用するための可能性を探り,県内の異分野試験研究機関と共同でぅ いろいろな分野き業種で必要とされる環境浄化
性能に応じた製造技術の確立と高機能化をはかる。今回は,前年度に引き続いて木骨炭材の吸放湿性能を調べるとと
もに,木竹炭材の製造における処理温度と重量変化及び精錬度の関係を調べた.またタスギ材やその樹皮,マダケ程
材,竹葉について水蒸気蒸留を行い,その成分についての基礎資料を得た.
1.はじめに
木炭はタ従来の燃料として以外に,調湿材や空気清浄 材,水質浄化材,電磁波遮蔽材など,多くの性能が高く 評価されはじめ,安眠枕や布団∼ 家屋床下の調湿,汚水 処理などに使われている.学術的にも,新たな機能を生 かすべく炭材の研針)2)3)も数多く見られるようになっ てきた.
一方,最近ではアロマテラピーなどのようにハーブ等 の植物抽出成分を人の健康や環境に生かすことも盛んで, 本県においても大分香りの森博物館も開館し>盛況を博
している.4)また,生態系においてもアレロパシー(他 感作用)という新たな視点から植物が生産する化学物質 が他の生物に与える作用が注目されつつある5)。
そこでき今回は炭化温度と材料重量,精錬度の関係に ついて調べるとともにラ 水蒸気蒸留で得た抽出物につい ても分析を行った今
なお,本研究は,県内異分野研究機関の共同研究事業 として水産試験場と衛生環境研究センターでも研究を分 担して進めている。水産試験場においては簡易水槽にお けるマダイ稚魚を用いた水質浄化試験に木炭を用いて養 殖場の水質浄化に向けた研究を行いタ衛生環境研究セン ターでその水質を分析して木炭の水質浄化性能について 評価を行っている.
2.研究方法 三.1供試材料
炭化処理に供する材料として,スギ材とマダケ材を用 意した.また5 比較試験用に県内で製造されたウバメガ シの備長炭も用意した.さらに,木竹資源の水蒸気蒸留
処理に供する材料として,スギ材とその樹皮,マダケ竹 碍と竹葉を用意した¢
2.2 炭化処理装置と処理方法
製炭装置として,アドバンテック東洋(株)製の高温乾 留装置(弘榊1220S)を用いた.操作は,材料を処理槽内に 挿入して密閉後,処理槽内を所用温度まで昇温し,炭化 処理後は処理槽保護のための水冷だけによるほぼ自然放
冷によって常温まで温度を下げた。また,処理槽内に発
生する燃焼ガスや揮発成分き熱分解成分は,炭化槽後部 中央に開けられた排気孔から排出して冷却管で冷却夕捕
集し,さらに水トラップと活性炭を通して排気した。処
理槽内温度の変化はレコ叩ダで記録し,高温乾留装置の 処理槽および蓋部は冷却水循環装置を用いて冷却した. 処理槽内寸法は150×150×180(弧)である.
炭化処理は,所要温度までの昇温を600◇ C以下の処理の 場合には1時間タ それ以上の8000Cタ10000Cでは2時間と
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平成8年廣 研究報告 大分県産羊科学技術センター
る書 また,精錬度と比較してみると,木竹材の主成分の 熱分解によって電気抵抗が急激に低下し,8000C付近から 横ばいに近くなってきているようすがうかがえる.
3.2 炭化処理温度と吸放湿性能
相対湿度と炭材の含水率の関係をFi g.4に示す.相対湿 度の増減に応じて炭材の含水率も増減している8 なかで も,10000Cの炭材では高い相対湿度においてすそれた吸 湿性を示している筍
また,F皇g島5に炭化温度と含水率の関係を示しているがき 炭化温度の上昇にともなう吸湿性の向上が認められる。
3,3 水蒸気蒸留による成分抽出
スギ樹皮やスギ葉,マダケ竹材き竹其の主要抽出成分 をでabl el に示す.
し,所要温度に達した後クi 時間を保持した9 2。3 水蒸気蒸留による成分抽出
スギ樹皮は疎水性で腐敗しにくいために,瓦葦に利用 されてきた.またぅ竹材の表皮は抗菌性があるといわれ, 最近では表皮からアルコール抽出した成分を混入した抗 菌性プラスチックも製造されている.資源を有効に活用 するために,水蒸気蒸留による抽出成分を分析し,抗菌 剤や忌避剤き 芳香剤としての可能性を探ることとしたむ
今回は,企業に依頼してスギ樹皮とスギ葉,マダケ竹 繹夕竹葉について水蒸気蒸留装置による成分抽出を行っ
た.そして,その抽出液について,ガスクロマトグラフ 質量分析計で成分分析を行った。
2.4 炭化処理における重量変化と精錬度の測定
竹材とスギ材を2000C,4000C,6000Cタ8000Cき1,000◇
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の5条件で炭化処理を行い,重量変化割合を調べた。 またタ その際の炭材の精錬度を簡易な木炭精錬計で測 定した,なお,この精錬度とは電気抵抗の指数を表す数 値で,0∼9の10段階で示されるものである.したがって, 備長炭などのように不純物が少なく炭素割合が大きくて 電気抵抗が少ないものほど0に近い値を示すことになる.
2.5 炭材の吸放湿試験
炭化処理温度3500C,6000C,8000C,1)0000Cの竹粉末
炭材料を恒温恒湿器に入れき 相対湿度を30◇ Cで30%, 50%,70%,90%と3時間ごとに段階的に上昇させ,さ
らに同様に下降させて,炭材の吸殻湿性能や吸放湿性能 に及ぼす炭化温度の影響を調べたじ
3。結果と考察
3.1炭化処理における重量変化と精錬度
前年度行った炭化処理においては,材料の酸化,燃焼 を引き起こさないために,前処理として材料を挿入した 処理槽内を真空ポンプで減圧しタ さらに処理過程におい てもアスビレータで吸引していたが,この減圧及び吸引 を行わずに処理できることが判明した.これは} 加熱に よる槽内空気の膨張と熱分解によるガスの発生により外 部から排気管に空気が流入することはなくき酸素供給が
断たれるためである。ただし,処理後の放冷の将に生じ
る槽内の圧力低下に伴う排気管からの逆流を防そことが 必要である。
炭化処理はき 処理温度によって材料の熱分解の進展が 異なるp これをタ 材料の重量変化と精錬度によって調べ てみたので,その結果をFまg.2とぎi g.3に示す。炭化処理 温度の上昇に伴い,低温域では材料重量は急激に減少す る,これはタ 主成分の熱分解によるもので,ヘミセル ロースが2500C付近き セルロ血スが3000C付近,そしてリ グニンが4000C付近で熱分解されたためであると考えられ
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平成盛年廣 研究報告 大分県産業科学後衛センター
カビや害虫,悪臭など,生活環境を脅かす元凶は後を 断たず,0−157も大きな問題になっている.元来,植物に は殺菌や殺虫き抗菌などの作用をもつ成分も多くタ最近 では臨界抽出等による成分抽出も盛んになってきた.今 回は簡易な水蒸気蒸留による抽出成分の分析を行いタ次 の結果を得た。竹材と竹其の抽出液にはク セスキテルペ ンに属するセドロールが共通して含まれき またスギ樹皮 とスギ葉にはモノテルペンに属するサビネンとテルピネ オールが含まれていることがわかる.一方,竹葉とスギ 実の抽出液には,共通してへキセンが含まれているのが 特徴であるが,これらがどのような性質をもつかについ ては今後検討していく.
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木竹材の炭化処理では仁処理温度と重量変化仁及び精 煉度についての基礎データを得た。
本年度は共同研究として,炭材の量的な製造,確保
ができなかったためき水産試験場で実施した水質浄化試 験に市販の備長炭原型を使用したが,アンモニアやリン 酸などの吸着や硝化作用は認められなかった.ろ過材と しての炭材の形状や製造条件等で検討課題を残した。
また,水蒸気蒸留による成分抽出で,特徴的な成分を 見いだしたが,今後これをもとにその成分利用と効果に ついて,実証試験を行っていく書
最後にき研究にあたり水蒸気蒸留による成分抽出にご 協力いただいた㈱アルプスソーラーの武井晴雄氏に謝意
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参考文献 1)桑原正章:木材と環境,海青社,(1994)
2)副枝裕美子,有馬孝:第45回日本木材学会大会要旨集
(1995)き480
3)舌塚毅士,石原茂久:第46垣旧本木材学会大会要旨集 (1996),477
4)日本木材学会研究分科会編:木材の科学と利用技術ⅠⅠ
(1991)
5)小島康夫:第46回日本木材学会大会要旨集(1996),478
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